入門「統計」のお部屋

わかりやすく「統計」についてお話します。

【統計ニュース解説】新型コロナウイルス(Covid-19)のマスク在庫がないのは本当?マスクはどこへ?

 こんにちは、コウヘイです。

 今日はみなさん気になるマスクの枚数について、紐解いてみます。
 気になってる方はぜひどうぞ。話のネタにもなりますし。

はじめに

 新型コロナウイルスの影響でマスクがお店の棚から一掃されていますね。。ほんまに無い。

 ついにシャープさんが生産に参入するとか。

mainichi.jp

 使っていない液晶ラインを活用するんですね。クリーンルーム(ホコリなどを除去した部屋)のレベルは高いでしょうから、衛生面は信頼できるかな。

 補助金も出るしシャープさんも多少渡りに船かと。

 

 気になるシャープさんのマスク生産量は、

  • 3月半ばにも1日15万枚
  • その後は1日50万枚

 1ヶ月当たりマックスで1500万枚(=50万枚×30日)か。

 1500万枚は人口の1割強。

 この生産量は多いのか少ないのか。。

 ということで、

  • マスクが足りないのは本当か?
  • いつくらいになったらマスクは手に入りそうなのか?

という2点について検討してみましたので共有いたします。

 

 1.マスクが足りないのは本当か?

例年のマスク生産量と需要

www.jhpia.or.jp

 こちらのデータをお借りすることにしました。

 2011年以前は信頼性に自信が持てなかったので、このブログでは2012年以降のデータに絞っています。

 まずは日本全体での生産量。国内生産と輸入の合計。

f:id:kohei327:20200301225059p:plain

 年々枚数は伸び、最新データの2018年は55.4億枚/年。平均すると一人あたり年間50枚もつかっている・・・!?

 内訳はこちら。

f:id:kohei327:20200301225126p:plain

 2018年の55.4億枚のうち、家庭用(青)は42.8億枚、比率にすると77%で大半を占める。

 次に多いのが医療用。10億枚で18%。

 産業用が一番少なくて2.6億枚、5%。意外と少ないのね。

 

 じゃあ実際にこの枚数は使い切られているの?というと、

f:id:kohei327:20200301232643p:plain


 2016~18年は在庫が16~17%と少なくとも現在のように需要が何倍にも(後述)なったら耐えきれない。

足元のマスク需要

 おさらいすると、2018年のマスク生産量は55.4億枚/年。

 

 ここから下は「1ヶ月当たり」の枚数で統一しますね。

 なのでまず2018年の生産量は平均月4.6億枚(=55.4億枚/12ヶ月)。

 

 それに対して、、、

www.asahi.com

  • 供給量を月6~7億枚(布含め)に増やす
  • 注文数は5億~6億枚

  注文数を単純に4倍(4週間分)したのが1ヶ月の需要とすると、月に20~24億枚。

 よって、

 供給量(しかもこれから目指す数)の4分の1程度しか生産できない。。

 これはさすがに足りないわ。

 

 月に30枚欲しいのに7~8枚しか手に入らない計算。

 まぁ咳が出なければ使わなくてもいいけど、花粉症だったら大変大変。。。

 

2.いつくらいになったらマスクは手に入りそうなのか?予測できる?

 結論からいうとごめんなさい、予測できません

 国が補助金出したりしていますが、足りない状況が続くとしか言えなそうです。

 以下詳細。

生産量を増やすための施策

 国は補助金で加速させようとしている。

 早速乗ってきたのが外資系になったシャープ。さすがの動き。

www.meti.go.jp

 どのくらいもらえるかというと、細かい諸々を省くとイメージ

  • 中小企業者:3/4以内(補助対象経費の)
  • 中小企業者以外:2/3以内(同上)

で、さらに先進的事業(高性能の先端生産設備)と認められえれば上限が3000万円から2億円に一気に引き上げられる。

 シャープさんも2/3もらう方向のよう(上限は不明、でも2億円取りに行くでしょうね)。

 使えるものは使おうーということね。

現時点での効果

www.meti.go.jp

 すでに採択された3社のうち、生産量が公開されている2社を合計すると導入後1ヶ月で260万枚。。

 需要の月20~24億枚からすると3桁小さい(0.1%程度)。焼け石に水、とまでは言いませんが。。

 シャープさんの1500万枚でも、需要の月20~24億枚と比較すると1%未満。。

このペースだと手に入るのは、、、

 物凄い先。。

 ただ月に4億枚は供給されるので一人あたり3枚は手に入る計算。

 とはいえ、箱で100枚とか買われたら一気に手に入りにくくなってしまう。

 しかも、当然ながら医療用を優先する。

 家庭用が市場に出回る時期は今の所見込めない(ごめんなさい)。

ということで終わりに、、

  数字をまとめてみると各家庭がほしいだけのマスクを手に入れれる時期はだいぶ先になりそう。

  • 注文数は1ヶ月20~24億枚
  • 生産量は1ヶ月6~7億枚(を目指す。布マスク含め)
  • 補助金で増やそうとしているけどシャープさんでも1ヶ月1500万枚。。

 朝イチのドラッグストアめぐりとかをして、たまたま並んでるのを見かけたら「必要な分だけ」「即買い」を推奨します。

 当然ながら、「必要ない分」は買うのをやめましょう。自粛ではない、ダメゼッタイのレベル。

 これから花粉症の季節、花粉症の人にとってはマスク生命線だったりするようですし。

 

 やっとこさこういうニュースも広まってきた。

www.nikkei.com

 

 1ヶ月以上前に論文からマスクの有用性について考察してみましたので興味がある方は下記から読んでみて下さいませ^^

www.xn--4d0av1x.net

最後に、そもそもの話

 例えばなにか気になるニュースがあった場合に、

  • そのニュースが本当なのか?
  • 違った見方ができないか?
  • 危ないとしたらどのくらい危ないのか?

といったことを、データを使ってサッと確認できると便利。

 データで確認なんて毎回やっていられない!と感じられるかもしれませんが、慣れてくると、ちょっと見ただけで「違和感」を感じ取れるようになります。

「違和感」のあるお話は、眉につばをつけて読んで(聞いて)、必要に応じて自分で確認するというサイクル。

 もちろん仕事でも役立ちます。「データをロジカルに分析して定量的に結論を出すというスキル」があれば、

  • 給料やボーナスが増える
  • 圧倒的短時間で成果が出る
  • みんなから一目置かれ、頼りにされる

など、メリットしかありません。

 このブログでは、こういった統計的なお話をドンドンしていきたいと思いますのでぜひお読み頂けますと幸いです。

 知りたいことがもしあれば、ここのコメントに記載頂いてもいいですし、下のアドレスからメールにてご質問頂いてもご回答させて頂きますので良かったらぜひ。今ならキャンペーンでプレゼントもご用意しています。

 

キンドル本と動画セミナープレゼント

 メルマガではブログでは非公開の情報を公開中です。更に知りたい場合は登録してください。

詳しくはこちら

f:id:kohei327:20191002002342j:plain

キンドルで発売中のこちらの本もプレゼント中!