【統計ニュース解説】育休取得率について、産業別/男女別に分析してみた
はじめに
小泉進次郎環境大臣が育休取得を宣言したあと、様々な影響が広がっている。育休連鎖っていい流れ。
隗より始めよ、で、推進している側=政府のメンバーが取るというのは非常に大事だと思う。
そういった流れからのこのコメント。
小泉元首相(お父さん)は時流に乗った発言が異常にうまい。相変わらず天才的。
育休が取りやすい仕事、取りにくい仕事
さて、「大臣」が取るということで盛り上がっていますが、育休が取りやすい仕事、取りにくい仕事はあるのでしょうか?
ということで、育休取得について産業別の傾向をまとめてみました。
学生の方は職種選びに。
社会人の方は転職する機会があれば参考に。
就職前のお子さんがいる方は、お子さんが就職される前に。
興味がある方は一度ご覧になられて下さい。
育休取得の産業別傾向
最初にソースはコチラ。
女性の育休取得率傾向
まずは女性の取得率が高い方から並べてみる。
ここで挙げられている産業は
日本標準産業分類に基づく16大産業
とのこと*1。
上記のグラフでもまだ多い(16種類)ので、ざっくり3つに分けてみる。
①女性の育休取得率90%以上の産業
電気・ガス・熱供給・水道業 100%
不動産業、物品賃貸業 99.2%
複合サービス事業 97.2%
学術研究、専門・技術サービス業 92.9%
②女性の育休取得率70%以上~90%未満の産業
情報通信業 89.6%
医療、福祉 89.3%
金融業、保険業 88.4%
製造業 86.8%
卸売業、小売業 83.1%
教育、学習支援業 80.2%
サービス業(他に分類されないもの) 75.4%
③女性の育休取得率70%未満の産業
生活関連サービス業、娯楽業 66.8%
宿泊業、飲食サービス業 61.1%
運輸業、郵便業 59.7%
建設業 59.1%
鉱業、採石業、砂利採取業 53%
女性の育休取得率傾向について考察
①で目を引くのはやっぱりインフラ(電気・ガス・熱供給・水道業)強い、100%。違和感の無い数字。母数が少ないとも考えにくいし、私個人の知人レベルでもそうだろうと思える。
②で気になるのは教育、学習支援業80.2%かな。約2割の人が育休を取得していない。
原因によりますが、もし制度的な課題として余剰人材を抱えられていないため育休が取得できないのであれば自分の子供くらいちゃんと育てさせてあげてほしい。
逆に、給与が不十分で育休を取得せず働かないといけないのであればなおさら自分の子供と向き合えるようにさせてあげてほしい。
③はどこも休みとれなさそうなイメージ。。薄利多売になっちゃっているのか。
男性の育休取得率傾向
次に男性について、産業別で育休の取得率が高い順に並べてみる。
まずは取得率が最も高い宿泊業、飲食サービス業でも20%と圧倒的に低い。
そして取得率が最も低い教育、学習支援業に関しては1.9%、なんと約50人に1人しか取っていない。おそらく育休を取っている施設がごく一部存在してそこの人は取れているものの、ほとんどすべての施設が取っていない(取れない)環境なのではないかと考える。
女性と同様に3つに分けてみる。
①男性の育休取得率10%以上の産業
宿泊業、飲食サービス業 19.9%
金融業、保険業 18.7%
電気・ガス・熱供給・水道業 14.5%
鉱業、採石業、砂利採取業 13.9%
不動産業、物品賃貸業 11.6%
情報通信業 10.1%
②男性の育休取得率5%以上10%未満の産業
生活関連サービス業、娯楽業 7.2%
医療、福祉 6.9%
複合サービス事業 6.5%
学術研究、専門・技術サービス業 5.7%
卸売業、小売業 5.1%
③男性の育休取得率5%未満の産業
サービス業(他に分類されないもの) 4.4%
製造業 4.3%
運輸業、郵便業 4.0%
建設業 3.3%
教育、学習支援業 1.9%
男性の育休取得率傾向について考察
①で意外なのが、最初にも書いた通り、男性の1位が宿泊業、飲食サービス業で、女性では③に位置していた産業。男女の傾向については次に分析してみます。
②の医療福祉、③の教育、学習支援業という人に関わる仕事をされている方については、育休を取って自分の子どもとみっちり触れるということが本業にも生きると思われるものの、現状あまり取れていない点は改善の余地があると思います。
実際、介護業をしている友人は、子供が生まれたあと定時(17時)に会社を出るように調整しています。子供や家族との時間を確保し、子どもの成長を目の当たりにすることで色々学び、家族と本業の相乗効果を狙っています。
介護業全体として収入の課題もあるでしょうが、、、ここは引き続き国全体としてテコ入れが必要かと。単純に移民入れればとかいう話ではない。ロボット化は必要だと思う。また別の記事で考察したい。
育休取得率傾向の男女差について
横軸に女性の取得率を、縦軸に男性の取得率をプロットしてみました。
4つのグループにくくってみる。
区切りは女性70%、男性10%としました。
そして、男女とも高い右上の領域を①、そこから時計回りに②~④としました。
①男女とも取得率が高いグループ(女性70%以上、男性10%以上)
電気・ガス・熱供給・水道業
金融業、保険業
不動産業、物品賃貸業
(※女性の取得率が高い順、以下同じ)
②女性は高めだが男性は低めのグループ(女性70%以上、男性10%未満)
複合サービス事業
学術研究、専門・技術サービス業
医療、福祉
製造業
卸売業、小売業
教育、学習支援業
サービス業(他に分類されないもの)
③男女とも取得率が低いグループ(女性70%未満、男性10%未満)
生活関連サービス業、娯楽業
運輸業、郵便業
建設業
④女性は低めだが男性が高めのグループ(女性70%未満、男性10%以上)
宿泊業、飲食サービス業
鉱業、採石業、砂利採取業
現状、男女で育休を取り、子育てに参画したいならば①から業種を選ぶのがベターそう。幸い、金融、インフラ、不動産、情報通信と業界が散らばっており、自分のバックグラウンドに応じて目指すことはできそう。
一方、④を選んでしまうと育休が男女ともとりにくい。おそらく人手不足で育休だけでなくいろいろな休みもないのではないかと推測される。その分、現状の給料は高いかもしれないが(運輸業とか)、何を取るか次第ですね。
③が興味深い。女性が低めで男性が高め(それでも女性の方が男性の3倍以上とっていますが)。宿泊業、飲食サービス業は相対的に女性が多くてそうなっているのか、、、?背景が読みにくい。鉱業、採石業、砂利採取業は単純にサンプルが少なくて偏っているだけかも。。内訳までは公開されていない。
②はまぁ上記以外というか、旧来の産業が多い。男性が一生懸命働かれているんでしょう。ここを①にどうやって持っていくかが課題。小泉進次郎大臣の動きが影響しやすそうな業界が多いようにも見える。
まとめ
育休の取得率は産業により大きく異なり、育休取得を重視するなら、最後にまとめた男女別の①ゾーンにあるインフラ(電気・ガス・熱供給・水道業)、不動産業、物品賃貸業、情報通信業、金融業、保険業を目指すのが吉。
男女別の分析からも、産業自体の人手不足と育休の取得率に相関があるようにも感じられる。この辺りはさらなる分析をすると面白そうです。
最後に、そもそもの話
例えばなにか気になるニュースがあった場合に、
- そのニュースが本当なのか?
- 違った見方ができないか?
- 危ないとしたらどのくらい危ないのか?
といったことを、データを使ってサッと確認できると便利。
データで確認なんて毎回やっていられない!と感じられるかもしれませんが、慣れてくると、ちょっと見ただけで「違和感」を感じ取れるようになります。
「違和感」のあるお話は、眉につばをつけて読んで(聞いて)、必要に応じて自分で確認するというサイクル。
もちろん仕事でも役立ちます。「データをロジカルに分析して定量的に結論を出すというスキル」があれば、
- 給料やボーナスが増える
- 圧倒的短時間で成果が出る
- みんなから一目置かれ、頼りにされる
など、メリットしかありません。
このブログでは、こういった統計的なお話をドンドンしていきたいと思いますのでぜひお読み頂けますと幸いです。
知りたいことがもしあれば、ここのコメントに記載頂いてもいいですし、下のアドレスからメールにてご質問頂いてもご回答させて頂きますので良かったらぜひ。今ならキャンペーンでプレゼントもご用意しています。
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